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造血幹細胞移植の流れ | 造血幹細胞移植推進地域拠点病院

造血幹細胞移植推進地域拠点病院|山口大学医学部附属病院

造血幹細胞移植の流れ

造血幹細胞移植とは

「造血幹細胞」とは、血液に含まれる白血球、赤血球、血小板の元となる特殊な細胞です。
これを用いた「造血幹細胞移植」は、難治性の血液疾患に行う治療です。

造血幹細胞移植は、造血幹細胞を誰から準備するかで大きく二つに分類されます。
あらかじめ患者さん自身の造血幹細胞を採取し、大量の抗がん剤治療の後に、自身の造血幹細胞を患者さんに戻し、血液の回復を促すのが「自家造血幹細胞移植(自家移植)」です。
一方で、健康でHLAを合わせたドナーさんから造血幹細胞を提供してもらい、大量の抗がん剤や全身放射線照射による移植前処置の後に、ドナーさんからの造血幹細胞を患者さんに輸注するのが「同種造血幹細胞移植(同種移植)」です。

造血幹細胞移植は、移植に用いる細胞の種類により、「骨髄移植」、「末梢血幹細胞移植」、「臍帯血移植」に分類されます。

当院での移植の流れ

同種移植を中心に、当院での移植の流れを紹介します。

STEP 1治療開始

白血病などの血液悪性疾患では、化学療法により腫瘍細胞を可能な限り減らしておきます。(数ヶ月)

STEP 2移植適応の判断

原疾患の病状や患者さんの年齢、体の状態などにより、移植治療を行うべきか検討します。当院以外で治療中の患者さんについては、担当医師より当院へ相談してもらい検討をします。医師より、患者さんとご家族に移植治療についてご説明し、同意をいただいた上で計画します。移植に関して不安や心配な事があれば、HCTC(造血細胞移植コーディネーター)にもご相談下さい。

STEP 3造血幹細胞の採取

【自家末梢血幹細胞移植の場合】
化学療法や白血球を増加させる薬(G-CSF)、プレリキサホルを用いて、患者さん自身の造血幹細胞を末梢血から採取します。(1~3週間)
【同種移植の場合】
HLAの結果や患者さんの病状、ドナーさんの希望などにより、適切なドナーソース(血縁あるいは非血縁および骨髄、末梢血、臍帯血)を選択し、関係する部署と連携して準備をします。HCTCが患者さんだけでなく、ご家族も含めて支援します。(数週間~数ヶ月)

STEP 4移植前検査(移植の2~3週間前)

安全に移植が行えるように、移植の前から入院していただき、原疾患の評価、患者さんの臓器機能などを検査し、前処置など適切な移植方法を計画します。また担当医師や病棟看護師が、移植経過中や療養生活上の注意点などを患者さんにご説明します。合併症を減らすために歯科口腔外科にて口腔ケアを、移植後の早期回復を目指して理学療法士によるリハビリテーションを開始します。

STEP 5クリーンルームへ入室

移植経過中の感染症のリスクを減らすために、治療開始前からクリーンルームに入室します。また移植にそなえた感染症予防の飲み薬などを開始します。

STEP 6移植前処置(移植の約1週間前)

大量の抗がん剤や全身放射線照射による移植前処置を行います。これにより腫瘍細胞を根絶し、また患者さん自身の血液および免疫も強力に抑制することで、ドナー血球の生着を促します。治療による苦痛を軽減できるように病棟看護師を中心に支援します。

STEP 7造血幹細胞移植

準備した造血幹細胞を点滴もしくは注射で、患者さんに移植します。

STEP 8ドナー血球の生着(移植後2~3週間)

移植前処置により白血球が減り、口の中や腸の粘膜が傷むため、細菌や真菌感染症のリスクが高くなり、ほとんどの患者さんが発熱します。その際には抗菌薬を変更して対処します。患者さんによっては、血球が回復傾向になると生着症候群といわれる発熱、皮疹、体重増加などの症状が出現します。白血球の中の好中球が3日間連続して500/μLを超えた初日を生着日と判断します。

STEP 9移植後早期合併症の管理(移植後1~3ヶ月)

ドナー血球の生着後、皮膚・腸管・肝臓を障害する急性移植片対宿主病(GVHD)の出現に注意する必要があります。範囲の限られた皮疹など、軽症であれば塗り薬などで対処しますが、重症化した場合にはステロイドの投与を開始します。また免疫力が低下した状態で、真菌感染症やサイトメガロウイルス感染症などを発症することがあるので、必要に応じて治療します。

STEP 10退院(移植後2~3ヶ月頃)

急性GVHDや感染症などが落ち着けば退院とし、その後は外来で治療を継続します。退院が近くなれば、患者さん自身が感染症の予防や合併症への対処ができるように、退院後の生活について病棟看護師がご説明をします。退院後の生活にはご家族などの協力が必要です。

STEP 11外来

退院後は、当院あるいは紹介元の病院の血液内科外来を定期的に受診します。退院後は1~2週間毎に、状態が落ち着けば受診間隔を伸ばします。受診毎の血液検査や節目での骨髄検査を行い、原疾患の評価、慢性GVHDや感染症に注意して診察します。GVHDが落ち着けば、免疫抑制剤を減量し、中止を目指します。

STEP 12移植後長期フォローアップ(LTFU)外来

担当医師の定期外来に加えて、移植後の節目でLTFU外来を受診していただきます。LTFU外来では、血液内科医師と専門の研修を受けた看護師が慢性GVHDなどの晩期合併症の管理、生活指導や支援を行います。